法人税・所得税法上で認められている制度で、納税者が税務申告を行う際に、期
中の取引を一定の帳簿に記録・保存して申告するという制度です。この制度は、
もっぱら、納税者に記帳慣行を根付かせる目的で創設されており、記帳義務が求
められる代わりに様々な特典が設けられています。
特典 |
特典の内容 |
税額に対する影響 |
備考 |
青色申告特別控除 |
申告書に決算書として損益計算書と貸借対照表を添付する場合は所得金額を限度として65万円を控除できます。(事業規模制限あり) |
65万円の特別控除により決算所得が500万円で所得控除後の課税所得が250万円であれば、所得税+住民税合計で約10万円の税負担が軽減されます。 |
65万円特別控除は平成17年度の所得税から適用されます。 |
青色申告特別控除 |
上記の決算書に貸借対照表がなく、損益計算書だけの場合でも所得金額を限度として10万円を控除できます。 |
上記と同条件であれば所得税+住民税合計で約2万円弱の税負担が軽減されます。 |
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青色事業専従者給与 |
通常同一生計親族に対する給与は、経費にいれることができませんが、青色申告者については、予め専従者として税務署に届出をしておくことで、適正な給与であれば経費処理できるようになります。但し、専従者給与を経費処理した場合は、所得税では扶養親族とすることができなくなります。 |
上記の課税所得250万円の例で、扶養親族に対し、専従者給与288万円を支給した場合には、事業主+専従者合算での税負担は、所得税+住民税合計で約16万円の税負担が軽減されます。 |
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純損失の繰越 |
事業所得等で生じた通常の損失金額については、翌年以降3年間繰越をして、翌年以降の所得と差し引きすることができます。 |
上記の課税所得250万円の例で、前年から繰り越した損失100万円があった場合には、所得税+住民税で約15万円の税負担が軽減されます。 |
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引当金 |
貸倒引当金と退職給与引当金といった見積もり費用についても経費処理できます。 |
上記の課税所得250万円の例で、貸倒引当金10万円を設定した場合には、所得税+住民税合計で約2万円弱の税負担が軽減されます。 |
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30万円未満の少額減価償却資産の全額償却 |
通常は、取得価額が10万円を超える資産は、減価償却により耐用年数に応じて経費処理しますが、この特例により30万円未満の減価償却資産は一時に損金処理できるようになります。 |
上記の課税所得250万円の事業者が12月に28万円のパソコンを購入した場合には、所得税+住民税で約5万円の税負担が軽減されます。 |
18年3月31日取得資産まで適用可 |
IT投資促進税制 |
70万円以上のソフトウェア又は、140万円以上のコンピュータ、デジタル複写機等のIT関連設備を購入した場合は、取得価額の50%の特別償却又は、10%の所得税額控除が認められます。 |
上記の課税所得250万円の事業者が100万円のIT設備を購入した場合には、所得税+住民税で約9万円の税負担が軽減されます。 |
18年3月31日取得資産まで適用可 |
〃 |
100万円以上のソフトウェア又は、200万円以上のコンピュータ、デジタル複写機等のIT関連設備をリースをした場合は、リース費用総額の60%について10%の所得税額控除が認められます。 |
上記の課税所得250万円の事業者が200万円のIT設備をリース取得した場合には、12万円の所得税が減額されます。 |
18年3月31日取得資産まで適用可 |
その他特別償却・税額控除 |
上記以外でも各種の特別償却、税額控除の特例があります。 |
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上記のような特典をうける代わりに青色申告を行う場合には、記帳義務が生じてきます。基本的には、正規の簿記に基づき作成された帳簿書類が求められますが、複式簿記でなく出納帳形式の簡易帳簿でも青色申告が可能です。
青色申告を申請して帳簿を作成することで、最低限10万円の青色申告特別控除をうけることができますが、白色申告の場合でも、記帳義務がないわけではありません。損益を把握できる最低限の帳簿は求められますし、書類も保管しておかないといけません。最近では、コンピュータによる会計ソフトも普及してきていますので、簿記が分からなくても、青色申告の要件をみたすことは十分可能となってきています。
青色申告の申請をする際には、「青色申告の承認申請書」を税務署に提出しなくてはいけません。
提出時期は、その年の3月15日までに提出すれば良いことになっています。確定申告の時期が毎年3月15日を期限としていますので、白色申告をしている方は、確定申告書と一緒に青色申告承認申請書を提出しておけば、次の年の確定申告の際には青色申告が可能になります。なお、青色申告承認申請書については、税務署に提出しても、何の返事もありませんが、何も返事がないときは、承認されたと思っておいていただければ結構です。心配な方は、提出をした税務署に問い合わせてください。