消費税法改正
(課税事業者の範囲拡大と簡易課税特例制度適用範囲の縮小)

 

消費税税制改正の概要

 

@       課税事業者の範囲拡大

 平成17年度の確定申告より消費税の納税義務者の範囲が広がりま
した。消費税では、納税義務の有無は、平成15年度の売り上げをもと
に判断されます。平成15年度の消費税の課税される売上が、基準とさ
れる金額を超えていれば、本年度は、消費税を納めることになり、基
準金額以下であれば、納税はないことになります。そして、今回の改
正により上述の基準金額が、年間売上3000万円から、1000万円に引
き下げられています。したがって、平成17年度の確定申告の際には平
成15年度の確定申告書に記載されている消費税が課税される収入金
額が1000万円を超えている場合には消費税を納める必要がでてき
てしまいます。当然、納税資金の準備も平成18年3月15日までには必
要となってきます。

A       簡易課税特例制度適用範囲の縮小

   簡易課税制度とは消費税の納税額を消費税が課税される売
上金額に対する割合(みなし仕入率)で計算するという計算方法です
が、一般的には、原則的な計算方法(仮受消費税から仮払消費税を差
し引きして計算する方法)より有利になることが多く、益税との声が
多い制度でした。ただし、原則的な方法によれば、多額の設備投資が
ある場合設備投資にかかった消費税によって還付もありえますが、特
例計算によると、売上金から納付額を計算しますので、多額の設備投
資があったときでも考慮されません。この特例制度を適用できるか否
かは、やはり2年前の売上高をもとに判断されています。上記と同じ
ように売上基準があり、その基準金額は、従来は、2億円とされていま
したが、今回の改正で、5000万円と基準金額が大幅に引き下げられ、
この制度を適用できなくなるケースが相当増えるものと思われます

 


消費税税制改正に対する対処方法

  @まず、平成15年度の消費税が課税される売上金額が
いくらかを確認して、ご自分が課税事業者となるか否か簡易課
税制度の特例を受けることができるか否かを確認してみてくだ
さい。


A平成15年度の消費税の課税売上金額が、5000万円
を超えている場合は、原則的な計算方法しかとれません。こ
の場合の注意点としては、以下のような事が必要になってき
ます。

◆ ◆ ◆

平成17年中の取引についての領収書・請求書の保管及び、帳簿への 記
帳が必要となってきます。保存期間は、7年間と2ヶ月です。

取引を帳簿に起票する際に、例えば、交際接待費のように同じ勘定科目
内で飲食代のような消費税が課税されている取引と慶弔費等のように消費税
が課税されない取引が混在している場合、補助口座を作るなど、集計上の工
夫が必要となります。

当然、納税資金を確保しておく必要があります。

 

B平成15年度の消費税の課税売上金額が、1000万円
超で5000万円以下であるときは、消費税の計算方法を原
則計算と、簡易課税制度による特例計算のいずれか有利な方
法を選択できます。いずれの方法によると良いかについては
、簡単に判断せず、専門家に相談してみてください。この場
合に注意すべきことは以下の通りです。

◆ ◆ ◆

以前に消費税の簡易課税制度選択届出書等の届出書を税務署に提出した
事があるかどうか。

今後の設備投資計画の実施時期がいつに予定されているか。

消費税の計算方法を特例計算によることと決定したときは、平成17年
12月までに「簡易課税制度特例選択届出書」を税務署に提出しておく必要
があります。(平成17年度から課税事業者となられる場合。)

簡易課税による場合で、複数の売上の形態を帳簿に売上計上するときは
、勘定科目を区分して、売上を卸売・小売・製造業等のように属性毎に管理
できるようにする必要があります。

当然消費税の納税資金を確保しておく必要があります。