平成15年の税制改正から導入された制度で、親子間での生前贈与を円滑に進め
ることを目的に導入されました。相続時精算課税制度によれば財産の種類を問わ
ず最高2500万円まで(住宅取得資金の贈与については3500万円まで)の
贈与について贈与税がかからない仕組みになっています。但し実際に相続が発生
した場合には本制度により取得した財産は、相続税の申告の際には相続財産に持
ち戻すこととなっています。
□ 従来の贈与税の制度との関係
従来からの基礎控除110万円という贈与税の制度は現在でも存続し
ており相続時精算課税制度とは並列関係にあります。その中で相続時
精算課税制度を利用したい場合は、選択届出書を提出することになり
ます。なお、相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者と受贈者
の間の贈与についてはすべて新制度の適用となり、従来の制度に戻す
ことはできなくなります。
□ 適用できる人の範囲
贈与者:贈与年の1月1日現在65歳以上の親であること
受贈者:同上の日現在20歳以上の子であること。
□ 適用できる財産の範囲
財産の種類や金額には制限がありません。
□ 税額の計算方法
計算単位は1月から12月までですので、その年中に贈与者である
親から受けた贈与財産の価額から特別控除額2500万円(2年目
以降は2500万円から前年までに控除した金額を差し引いた残額
となります)を差し引きした金額の20%相当額が贈与税額となり
ます。(当然、特別控除2500万円を引くことでマイナスになる
ときは、納税額は0円となります。)
結論からいうと、贈与金額が2500万円に達するまでは贈与税は
かからず、2500万円を超えるとその超えた金額の20%を贈与
税として納める事となります。
□ 少額の贈与があった場合
この制度を適用した後年に、その親からの贈与があった場合には少
額でも贈与税の申告は必要となります。但し、この制度と関係のな
い人からの贈与については、従来からの贈与税の制度によりますの
で、基礎控除110万円までの贈与であれば申告は不要です。
□ 住宅取得資金の贈与をした場合。
この制度では、平成15年1月から平成17年12月までの間につ
いては、親が65歳未満であっても、子が20歳以上である、贈与
年の翌年3月15日までに取得等し、居住開始をするその他一定の
要件に当てはまる住宅取得資金やリフォーム費用の贈与については
合計3500万円の特別控除が認められています。
□ 相続時精算課税制度を適用するための手続き
財産を受けた方が申告期限内(贈与年の翌年2月1日から3月15
日まで)に贈与税申告書と相続時精算課税選択届出書その他戸籍謄
本等の添付書類を税務署に提出することとされています。なお、期
限後の申告になりますとこの制度は適用できなくなります。
□ 相続時精算課税制度を適用後に相続が発生した場合の取り扱い
相続税の計算上、相続財産に贈与財産を贈与時の価額で加算するこ
とになります。
なお、この制度により贈与税を納めている場合には、相続税額から
その贈与税額相当額を相続税額から控除してもらえます。(相続税
額が発生しない場合には還付されます。)
なお、この制度により贈与取得する宅地については相続税の申告の
際、小規模宅地等の減額特例の対象外となります。また、贈与取得
する同族会社株式について特定事業用資産の減額特例を相続税申告
時に受けようとする場合には、贈与税の申告時に予め届出書を提出
しておく必要があるので注意が必要です。
□ 相続財産が基礎控除以下であった場合の相続税の申告
相続時精算課税の特例の適用をうけていても、本来の相続財産にこ
の制度による贈与財産を加算して計算したときに相続税の基礎控除
以下であるときは、相続税の申告は必要ありません。