現金の管理がきちんとできていれば、その会社の経理は合格点といえるほど、経理の仕事の
なかでとても大切な仕事です。比較的経理の知識がなくてもできる作業なので、初心者の方が任
されることも少なくありません。金額の多少にかかわらず責任の重い作業です。
ここでは、現金の正しい管理を行う上で大切なことをまとめています。
毎朝始業とともに金庫から現金を取り出し、現金出納係は常にお金の出し入れのつど、その入出金
の内容と相手先・金額を現金出納帳という補助簿(おこづかい帳によく似た帳簿)に記入します。
終業前には、手提げ金庫の中の現金を金種ごとに計算し合計した金額と、前日から繰り越された
現金勘定の残高に1日の入金合計・出金合計をプラスマイナスしたあるべき現金残高をつき合わせ
正しく記帳できたかどうか確認します。ここで差額が発生したら、必ずなぜあわないのか帳簿を
しっかり見直して一致させてから現金出納帳を締め切りましょう。
特別な場合を除き、多額の現金を社内におかない。
入出金時は必ずその根拠となる書類を確認し、その金額に誤りがないか、金額どおり
入出金を行ったか慎重に現金を取り扱う。
現金を直接触る人は基本的に1人に限定し、席を離れたりするときは必ず他の代わりの
人に管理をお願いして、その前後は残高に変動がないかどうかお互い確認する。
少額の現金を管理するのに便利な手提げタイプの金庫を使用するとよい。
現金の出し入れと同時に現金出納帳に記入し、記帳もれや誤記入には注意する。
帳簿残高と実際の現金残高に不一致があったときは、絶対にポケットマネーで合わさ
ない。原因がわかるまで現金過不足勘定で処理しそのつど修正する。
ある程度の規模になり入出金の量が増えてきたら、できるだけ預金口座を経由させて
透明性を高めましょう。
経費支払用に従業員に仮払いしている場合には、必ず各人ごとに仮払金の残高を管理
します。精算が遅れる人は特に注意します。いつまでも仮払金が積み重なり多額になる
まで放置し、結果的には横領されていたというケースがあります。
※会計上、「現金」という言葉は一般的な「お金」という言葉より広い範囲で使われます。
具体的には、貨幣(硬貨・紙幣=お金)プラス現金と同じような性質を持つもの、例えば
他社から受け取った小切手などをあわせて「現金」というものと考えてください