詳細情報については別メニューで取り上げます。
給料計算は、会社の規模にかかわらず、毎月必ずしなければならない業務です。
最近は給料計算ソフトも普及しているので、一見簡単そうにに思われますが、ある程度の流れを知っておく必要があります。
外部に給与計算を依頼することもありますが、社内の情報が伝わりにくいため、連絡のもれがないよう心がけます。
毎月の給与計算のスケジュール(給与締切日が20日、支払日が25日の場合)
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
毎月10日は前月分の源泉所得税・住民税の納付期限 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | |
29 | 30 | 31 |
人事情報の整理 | 従業員の入退社・転勤・結婚・出産等の情報を把握 | |
給与締切日 | 労働日数・労働時間の集計(出金簿・タイムカード)・基礎情報の確認・給与計算・給与明細書の準備 | |
給与計算 | ||
給与支払日 | 袋詰め・振込み(事前に給与振込みの手続きをすると振込料が安く済む)・帳簿記入 |
タイムカードや出勤簿の集計から支給の準備まですべてを手作業で行う場合には、大変な手間がかかりますが、
給与計算ソフトを利用してパソコンで行う場合には、大幅な省力化が期待できます。最近ではタイムレコーダーから
直接給与ソフトへ連動し勤怠情報をとりこむことができるものもあり、タイムカードの手作業による集計・入力作業も
効率化が可能です。
しかし、給与計算の基礎となるデータを入力するときに設定ミス・入力間違い等があれば、コンピュータは間違った
情報で支給額を計算することになりますから、操作の仕方、計算数値の確認の仕方を知っておかなければなりません。
給与支給額=総支給額−各種控除額
(1)−(2) (1) (2)
(1)総支給額の計算
給与の支給項目は会社によって違います。多くの会社では、給与の計算基準を明確にするために就業規則
(給与規定)を設け、それに基づいて計算しています。
給与には毎月一定の金額を支給する基準内給与(一定の条件に変更がない場合)と勤務状況によって支給額が変動
する基準外給与とがあります。(月給の場合)
パソコンにより給与計算を行う場合には、個人情報・固定給の登録をし基準外給与の計算単価を設定しておけば時間
外労働時間などを入力すると自動的に給与額が計算されます。
基準内給与 (固定給与) |
基本給 | 昇給や昇進・出産等により変更がない限り毎月一定額支給される |
役職手当 | ||
職務手当 | ||
資格手当 | ||
営業手当 | ||
住宅手当 | ||
家族手当 | ||
通勤手当 | ||
基準外給与 (変動給与) |
時間外手当 | タイムカードから出欠日数・労働時間を確認する |
深夜手当 | ||
休日手当 | ||
宿日手当 | ||
精皆手当 |
通勤手当は所得税の計算上一定額まで非課税扱いとされます
支給額を計算する際に最も重要な作業は、労働時間の集計です。時間外手当やパート・アルバイト等の時給計算に
直接影響する部分ですので、集計ミス・読み間違い・入力ミスに注意します。
(2)各種控除額の計算
給与から控除されるもの(天引きされるもの)
法律で定められているもの | 各会社で定められているもの |
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料 | 社宅費・寮費・親睦会会費・財形貯蓄・社内預金・生命保険料・労働組合費・貸付金の返済金など |
雇用保険料 | |
源泉所得税 | |
住民税 |
社会保険料は被保険者が毎月受ける報酬の額をもとに計算します。報酬とは社会保険料を計算する際に用いられる
概念で、具体的な範囲が法律で定められています。
実際には毎月の給料の金額は変動しますが、毎月計算しなおすのではなく、一定の範囲での増減を加味した標準
報酬月額ごとに各ランク別に保険料を計算した「標準報酬月額保険料額表」にあてはめて計算します。この標準報酬
月額は、入社時・年1回の見直し時・給与の変動による見直し時に各人ごとに届出をし、決定されたものを継続して
使用します。通常、前月分の社会保険料を当月分の給与から控除することになります。
介護保険料は基本的には40歳以上65歳未満の会社で働く人が加入の対象となります。
会社は従業員から預った社会保険料と会社負担分とをあわせて納付します。
なお、パソコンによっている場合には、報酬月額を設定すれば自動的に保険料の金額が計算されるようになっています。
(法改正による税率の変更・従業員の給与額の大幅な増減等に注意)
雇用保険料は労災保険料と合わせて労働保険料といいますが、賃金という概念が計算の基礎となります。具体的には
法律で定められていますが、基本的には会社が従業員に労働の対価として支払うものすべてが含まれます。
労災保険料は会社側で負担し、毎月預った雇用保険料と会社負担分の雇用保険料とをあわせて、年1回精算して、
申告納付します。
給与から控除する雇用保険料
賃金(給与)総額×被保険者負担分の雇用保険料率(8/1000または9/1000)
なお、パソコンによっている場合には、給料等の金額が決定されたら、自動的に保険料の金額が計算されるようになっています。
給与所得にかかる所得税は、給料を支払う際に会社が源泉徴収し、従業員にかわって納付することになります。
この所得税を計算する基礎となる情報を集めるために、入社時や家族の増減等があった時、年末調整の準備期間
中に、会社では従業員に対して「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という用紙を配布し、記入してもらいます。
主に従業員とその家族(扶養親族等)の状況を把握することになります。
所得税額は、扶養親族等の人数・所得の金額に応じて計算された「源泉徴収税額表」にあてはめて計算されます。
所得税は12月31日現在の状況に応じて正しい計算を行うため、1月1日から12月31までの間に変更が生じた場合等
の所得税の金額の修正は年末調整の作業を経て精算されます。
従業員から預った源泉所得税は、税理士等に支払う報酬にかかる源泉所得税とあわせて、原則として翌月10日まで
に納付します。
住民税とは、1日1日現在の住所がある市区町村に対して支払わなければならない税金です。
この住民税は、自分で直接納付する(普通徴収)方法と、給与から天引きしてもらい、会社に納付してもらう(特別徴収)
方法とがあります。
給与から控除する住民税は特別徴収によった場合で、会社が従業員の住民税の年税額を12ヶ月に分けて毎月10日
までに納付します。
年末調整時に作成される源泉徴収票と同じ内容を複写した給与支払報告書を1月31日までに市区町村に送付すると
住民税の金額が計算され会社に通知されます。
各人ごとに12か月分の住民税額の通知書と納付書が届きます。その金額をそのまま、従業員の給料から控除する
ことになります。
納付書によると従業員の人数が多い場合には記入・集計に手間がかかるので、銀行で自動振替えの手続きをしておくと便利です。
毎月金額を記載した手続き用紙が送付されますので、確認し変更があれば変更箇所を記入する必要があります。
従業員が退職した場合には、市区町村に届け出る必要があります。