無担保・無保証人の融資制度
会社を経営するために最も大切なものはお金(資金)です。
お金がなければ商品を仕入れたり、従業員への給与も支払うこともできません。
多くの会社においては、資金が不足した場合には、経営を続けるために、なんらかの手当てをほどこします。
また、新たに会社を設立したり、設備投資を行うときにも、足りない資金を補うために資金調達を行うこともあります。
資金を調達するにはどうすればよいか、そして、調達した後の返済の仕方についてポイントを説明します。
なお、詳細な説明を必要とされる方は、当事務所までお気軽にご相談ください
資金が不足する状態になったときには、他からの調達を考える前に、まず会社の中でお金を生み出すことはできないか
検討することが大切です。外部からの調達にはその見返り(配当金・利息・割引料等)として資金流出が伴います。
資金が不足する主な原因
利益の減少 | 売上の減少・商品コストの上昇・人件費や諸経費の増加・支払利息等の金融費用の増加 |
利益と収支のずれが大きい | 売掛金の増加(販売後なかなか入金されない・回収期間が長い) |
手形回収が多い・支払期日までの期間が長い | |
仕入代金・経費の支払期間が売上代金のの回収期間より短い | |
在庫の増加 | 過剰仕入・売上不振 |
設備投資の失敗 | 投入資金の回収(売上の増加等)が計画どおり進まない |
改善策(上記の原因を克服する)
利益の増加 | 売上の増加・売上原価・諸経費の圧縮・低金利融資に借り換え・手形割引の削減 |
売上代金の早期回収 | 売掛金の圧縮(回収に努める)・手形回収を減らす・手形期日を短くしてもらう |
在庫の圧縮 | 在庫管理をし無駄な仕入をしない・在庫処分セールなどをし早めに現金化する |
設備投資前のキャッシュフロー予測を入念に行う・遊休設備の売却・定期預金の解約・投資資産のの売却等 |
上記の改善策を検討すると同時に外部からの調達も検討するようにします。
会社を始めるとき、資金が不足するときの外部からの資金調達には、次の2つの方法が挙げられます。実際には外部から
の借り入れに頼ることが多い中小企業では、どのような融資を受けることができるのでしょうか。
通常、書類の準備や審査に時間がかかりますので、早めに情報を収集するようにしましょう。
@ 株主や投資家に対して株式や社債を発行して調達する方法 A 金融機関などからの融資を受け調達する方法 |
中小企業においては、通常Aの融資を受ける場合の方が圧倒的に多いものと思われますので、銀行等の金融機関その他
公的融資を利用する場合について特徴をまとめます。
銀行は収益性が高く安全な優良企業や将来性があると判断した相手先には、融資を取り組んでくれますが、小規模な
企業に対する融資は非常に消極的です。
比較的容易に応じてくれるのは優良手形の割引か信用保証協会の保証付の融資です。
手形の割引は、手形を担保に割引〜決済日までの間借り入れをしているのと同様の効果をもたらします。この場合には
高い利率で計算した割引料が差し引かれますので、十分に検討するようにします。
また、信用保証協会が保証する借り入れについても、利息以外に一定の信用保証料を支払わなければなりませんので
高い利息で借り入れているという意識が大切です。
早く融資を受けたいというときには、どうしても手続きが簡単で借りやすいものを選びがちですが、その後の返済を視野
にいれ、利息の負担が軽いものを選択しておくことが重要です。
その他の融資についても公共の融資制度による場合に比較し、利息が高いケースが多いので、金利交渉を必ず行うよう
にしましょう。
銀行融資を受ける際には、銀行内での稟議が1週間から15日程度かかりますので、自社が提出すべき決算書等の書類の
提出もスムーズに行うようにしましょう。
また、銀行からの借入金があれば、会社の財政状態を把握するため定期的に決算書や申告書・月次試算表などの提出
求められますが、融資を受けている以上当然の義務と割り切って、速やかに応じるようにします。
銀行の融資審査
@ | 資金使途は正しいか | 融資可能な目的か |
A | 所要資金は正しいか | 昨年実績・市場価額・計算書・計画書を基に検討 |
B | 借入過多になっていないか | 借入れの水準 |
C | 借入希望額の妥当性 | 手許資金と借入資金のバランス等 |
D | 貸借条件の検討 | 担保・金利・返済条件・社長の生命保険 |
E | 財務内容の検討 | 財務体質 |
F | 融資決定 | 担当者−営業課長−融資課長・副支店長−支店長 |
中小企業に対する融資を行う場合、資金使途の次に社長の人格と貸借対照表の数字が最も重要視されます。
銀行(債権者)にとっては借金を返してくれる安全な会社かどうかを見極めることが大切ですので、過去の損益計算書の
数字は、売上・粗利益(売上総利益)・人件費・賃借料以外はあまり検討の対象となりません。
新規開業される方や、事業を始められて間もない方、業績が不安定な業界や厳しい条件がクリアできない中小企業は、
民間の金融機関からは借り入れが難しいのが実情です。
このような事業者に対して、一定の条件さえクリアすれば融資をしてくれるのが国民生活金融公庫などの公的金融機関
です。
公的金融機関には下記のようなものがあり、それぞれ様々な融資制度を設け、資金調達が困難な方でも融資に応じてもら
える可能性があります
政府系金融機関
中小企業金融公庫・国民生活金融公庫(旧国民金融公庫及び環境衛生金融公庫)・商工組合中央金庫など
各種事業団
中小企業事業団・環境事業団・労働福祉事業団など
その他各都道府県・各市町村も公的融資を行っています。
公的融資と銀行等の民間融資とを比較した場合の公的融資のメリットとデメリット
メ リ ッ ト | デ メ リ ッ ト |
民間金融機関と比べ低金利である | 融資の決定までに時間がかかる |
固定金利であるため資金計画が立てやすい | 必要書類が多く手続きが煩雑である |
比較的長期の返済である | 緊急の資金手当てにはなじまず、柔軟な資金運用ができない |
担保や保証人の要件が軽い |
融資を決める際のポイント
借入金の返済期間・借入額が適正か(無理な返済・借りすぎに注意) |
低金利の借入をする(各融資を比較検討し最も有利なものを選ぶ) |
緊急に資金が必要な場合には早めにメインバンクに相談する |
企業の規模や状況・資金使途等によって適当な融資制度を利用することになりますが、ほとんどの小規模事業者
や個人事業者において利用が可能な国民生活金融公庫はとても頼りになります。
国民生活金融公庫の利用
国民生活金融公庫(公庫)は、銀行などの民間金融機関から十分な融資を受けられない事業者を対象にしています。
公庫融資を受ける場合には、原則として保証人・担保(不動産・有価証券等)が必要ですが、一定の要件に該当すれば
無保証人・無担保で融資してもらえる制度もあります。
(適当な保証人が見つからない場合でも公的な保証人である信用保証協会の保証が利用できます)
国民生活金融公庫の金利
同一の融資制度であれば業種・規模・営業年数・使用目的などにかかわらず同じ金利 |
契約時の金利が最後まで適用される固定金利 |
原則として長期プライムレート(民間金融機関が企業に1年以上の融資をする際に適用する最優遇金利のこと))とほぼ同水準で安く借りられる |
無担保・無保証人の融資制度
(注)
|
飲食業、理・美容業、クリーニング業などの生活衛生関係の事業を営む方(従業員が5人以内)が、設備資金 を必要とされる場合は、生活衛生改善貸付(生活衛生同業組合等の長の推薦が必要)の対象となり、手続きな どが若干異なりますので、生活衛生同業組合または生活衛生営業指導センターなどでご相談ください。 |
借入金を減らす(金利の高いものから順に) |
借入先ごとに利率・返済金額・残高・毎月の利息額等のデータを整理・集計し管理します |
常に有利な融資条件のものへの借り換えを検討します |
借入先との金利交渉も欠かさず行います |
手形の割引料は金利が高いので、極力しないようにします |
資金繰りをきちんと行い無駄な支出を抑え、お金を増やして借入金を返済します。
非常に地道な努力が要求されますが、借入金を1つでも返済すれば翌月からの資金繰りが楽になります。