平成17年7月26日に新会社法が公布されました。法律の施行日はまだ平成18年5月頃との話ですが、既存の有限会社・株式会社の新会社法に対する実務上の対応や、新しく会社を設立しようとする場合の経営者が知っておきたい注意点や変更項目をまとめてみました
新会社法では、会社体系を株式の種類に応じて「公開会社」と「株式譲渡制限会社」に大きく分けています。また、会社規模に応じて「大会社」と「その他の中小会社」に分けています。株式譲渡制限会社とは発行した株式の全てについてその株式を譲渡する場合、取締役会の承認を必要とする旨の規定を定款に定めている会社をいい、大会社とは資本金が5億円以上又は、負債総額200億円以上である会社をいいます。
日本の多くの中小企業は「株式譲渡制限会社」で「その他の中小会社」に該当します。
上記のような譲渡制限会社で中小会社である場合には、株式会社に従来、強制的に設置することとされていた取締役会の設置が任意となり、また、定款に定める事により取締役の任期を現行の2年から10年にまで延長することができるようになりました。機関設計としては、有限会社型の株主総会+取締役1人、取締役任期が10年という有限会社的な機関設計が認められることとなりました。なお、現行の運営機関が株主総会+取締役会+監査役という株式会社について、新会社法施行後何も手続きをしない場合には、現行通り株主総会+取締役会+監査役という運営機関となり、取締役は3人以上必要となります。
これらの機関設計は定款により行われますので、現行の機関設計を変更する場合には新会社法の施行後、定款を変更し、登記し、その旨を定めておく必要があります。
実務上の上記のような有限会社型の機関設計をする手順としては、以下のようになります。(大会社以外の場合)
1:株式譲渡制限会社か否かの確認。
株式の譲渡制限は定款に記載されていますので、もし定款に譲渡制限の定めがなければ、譲渡制限の規定を設けるための株主総会の特別決議により定款の変更を行います。
2:取締役会も監査役も設置しない旨を定款に規定する。
現行の株式会社は新会社法の施行と同時に取締役会設置会社・監査役設置会社と登記されたものとみなされてしまいますので、取締役会も監査役も設置しない旨の変更を定款でも登記上でも行います。
3:取締役の任期を10年とする旨を定款で定めておく。
機関設計パターン
一般的な中小企業が現実的に選択できるパターンとしては以下のようなものがあります。
大会社以外の中小会社(会計監査人不設置)の場合
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取締役会不設置会社
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取締役会設置会社
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取締役
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取締役会+監査役
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取締役+監査役
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取締役会+会計参与
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取締役+会計参与
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取締役会+監査役会
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取締役+監査役+会計参与
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取締役会+監査役+会計参与
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取締役会+監査役会+会計参与
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※会計参与とは新会社法により定款に規定することで新たに設置可能となった新たな機関で、会社の取締役等と共同し計算書類を作成・説明・保管等をする税理士・公認会計士から成る機関です。計算書類の信頼性の向上を目的に創設されています。
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