平成17年7月26日に新会社法が公布されました。法律の施行日はまだ未定で平成18年5月頃との話ですが、既存の有限会社・株式会社の新会社法に対する実務上の対応や、新しく会社を設立しようとする場合の経営者が知っておきたい注意点や変更項目をまとめてみました。
従来の最低資本金制度(有限会社300万円・株式会社1000万円)が新会社法の下では撤廃、新会社法施行後は資本金が1円でも会社設立が認められることとなりました。これにより新規創業の会社が多数生まれることが予想されます。既に旧新事業創出促進法により最低資本金規制の特例により設立される確認株式会社や確認有限会社がありますが、これらは創業者要件(事業を営んでいないこと)や資本金を5年以内に最低資本金額まで引き上げる必要がある等の要件がありました。新会社法によれば、創業者要件や資本金の増資の必要がありませんので、創業をしやすい環境がより整ったことになります。
なお、確認株式会社や確認有限会社については定款の変更をすることにより最低資本金まで増資をする必要はなくなります。
類似商号規制が大幅緩和されます。
従来の同一市町村内の同一営業目的での同一・類似の商号は登記できないとされていた類似商号規制は撤廃されます。但し、同一の場所に同一の商号は登記できませんのでその点での類似商号調査は必要です。また類似商号規制は商業登記上で緩和されたわけですが、紛らわしい商号を使用することは他者に誤解や不利益を与えかねず、訴訟をまねきかねないので実際には今まで通りに注意が必要です。
現物出資による設立についても緩和されています。
現物出資とは、金銭以外の財産の出資をいいますが、基本的に現物出資がなされた時は裁判所が選任した検査役の調査が必要ですが、新会社法では現物出資される財産総額が500万円未満であればその検査を省略できることとされました。これにより個人事業者の法人化も容易にできるようになります。
「払込保管証明」が不要に。
発起人が全株式を引き受ける発起設立の場合に従来必要であった払込保管証明が不要になりました。その代わりに残高証明書でよいことになりました。これにより保管証明に比べ時間も短縮でき会社設立前に払込金の引き出しも可能になり資金的な制約が緩和されます。
新会社法次の記事へ

|